以前から読んでみたかった、天皇陛下が若い時に書かれたエッセイ「テムズとともに」。
このたび、紀伊國屋書店から復刊され、Amazonで予約、4月22日ごろに手元に届きました。
内容は、陛下が二十代の頃、オックスフォード大学で過ごされた二年間の留学生活の記録です。
留学された頃は、まだ昭和の時代だったのですね。
学習院の大学を卒業、大学院在学中の留学だったのですが、日本にいらっしゃるときは、やはりお立場上、あちこちには行かれることはできないようですし、活動は制限されていたようでした。
でも、オックスフォードの留学生活の中では、かなり自由にいろいろなことにチャレンジされ、経験を深められていたことが詳細に書かれています。
二年間という時間を、この時しかないように、有意義に過ごされている様子が、心に響きます。
研究、また研究に付随するテムズ周辺の教授との散歩、図書館などでの、埃の溜まった古文書(古い英語)の調査、そして文にまとめるのみならず、スポーツへの参加、音楽活動、外国訪問、登山、そしていろいろな方、教授や仲間との交流、慣れない土地や言語なのですが、臆することなく積極的に経験されています。
アルバイトなどに結構時間を取られる普通の学生と単に比較することはできませんが、いろいろなアンテナを張り巡らせ経験を広め深めたり、また、地道な研究の仕方など、学生生活をこれから送る方にも、どこか参考になるかもしれません。
私も、陛下と同じヴィオラを弾いていたこともあり、オックスフォードで音楽仲間を作られ、音楽会を数回開いていらしたという記述に、感動しました。
天皇陛下になられた今も、ヴィオラを弾いていられるのかなー・・・。
また、テムズ川周辺を研究のために散策したり、テムズ川の歴史を、水運の記録から調べたりなどの記述には興味を持ちました。そうした記録は、図書館や文書館などの古文書のようなものに書いてあり、持ち出せないので、書き写して研究資料にされたそうです。
私事ですが、春日井市の端の身近な小さな川の八田川、何の変哲もなさそうですが、春日井市の資料を見ると、さらに身近な二子山古墳から出土した埴輪は、古墳時代に川上で作ったハニワを八田川を使って船で運んできたものだそう。
また、明治時代には、犬山と名古屋を結ぶ物資を運ぶ船が通っていたそうです。
小さい川なので、どんなふうに船が通っていたのか想像しがたいけど、川べりを散歩するたびに、船が通る様子をあれやこれやと思い浮かべます。
「テムズとともに」に、物資を積んだ船などがトンネルを通る時、狭いので、船の人がトンネルの壁を足で蹴って進んだとあります。
八田川の場合も水路のトンネル(もうそこでは八田川は庄内川と合流し、そこから枝分かれ、堀川へと変化していくトンネル)「元杁樋門(もといりひもん)」では鎖があり、船頭さんがそれを引っ張って船を進めたとのこと。
↓以前見に行った時に撮った元杁樋門のトンネルの写真(撮りにくい場所にありました)
手前にもう一つトンネルがありますが、草に隠れ見えません・・・。
詳しくは、下の「参考」のところで資料を見てください。(自分の興味あることまで書いてしまいました・・・。)
話を戻します。
「テムズとともに」だけでなく、「水運史から世界の水へ」という、陛下の著書もあります。
ここには、京都や瀬戸内海、江戸の水運、また、オックスフォードでの研究内容、テムズ川の交通、水に関わる、災害、諸問題などをテーマにした「皇太子殿下のご講演の記録」とあります。
こちらも、テムズの本と繋がりがあるので、もう一度読んでみようと思います。
二年間という長いようで短いオックスフォードでの期間を、惜しむようにいろいろなことを経験されて過ごされた陛下、青春時代の輝ける思い出ですね。
また、陛下が再び英国に訪問される機会がありますように、心から願います。
・・参考 ・・・・・・・・
自分の興味のあるサイトの、興味ある記述の紹介
↓「名古屋歴史ワンダーランド」のサイトから